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写真集 #ゴイサギはいいぞ 発売に寄せて

 

ゴイサギだけの写真集を作りたい、そんなことを考え始めてからもうかなりの年月が経つ。ゴイサギだけで1冊とするならば写真のバリエーションや数を揃えるだけではなく、今までだれも見たことがないような写真も揃えなければダメだ。幸い自分は普段から作品作りにおいては「人と違う」ということを何よりも大切にしている。それでも、これを実現させるには相当の覚悟を持って作品作りに臨まねばならないのは明白だった。

 

新たな視点、新たな表現、様々なアイデアが浮かんでは消えたが、なんとかそのうちのいくつかは形にすることができた。幸い毎年のように撮影に付き合ってくれる、僕が親しみを込めてポチと名付けた個体もずっと協力してくれた。これは長年にわたる僕の覚悟と諦めとアイデアとその結果、そして一方的に友情のようなものを感じながら接し続けたポチとの記録でもあると言えるかもしれない。

 

毎日のようにSNSでゴイサギの写真を発信し続けていると、世の中には結構な数のゴイサギ好きの方がいらっしゃるんだということもわかってきた。BIRDER誌でも異例中の異例、2年間で2度に渡ってゴイサギだけのグラビアを組んでいただいた。そうこうするうちにゴイサギだけの写真集は「作りたい」から「作らねば」「僕がやらねば誰がやるの?」という義務のように感じられてきた。

 

幸運にも昨年発売させていただいた写真集 Art of Wildbird(こちらにも初公開の夜のゴイサギなど本書とは重複しないゴイサギを掲載) を非常に多くの方に買っていただけたので、出版社である青菁社さんもゴイサギだけの写真集にとても理解を示してくださった。とはいえ、ゴイサギだけの写真集を出すというのはかなりな冒険には違いないし、青菁社さんにもそれなりの覚悟が必要だったのではと推察する。この写真集にはそんな、いろんな局面での色々な覚悟の結果という側面もあるのかもしれない。かわいい、かっこいい、どんくさい、弱っちい、きれい・・・本当に多くの魅力に溢れたゴイサギの姿をぜひ、多くの方に楽しんでいただけたらと願っています。

 

また私たちの身近ではゴイサギだけではなく、さまざまな野生の生き物が暮らしています。この本がそんな『身近な大自然』に目を向けるきっかけとなってくれたならとても嬉しく思います。

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